キキのテーブルのブログ「4×6 -4つの目、6本の足-」

🐾J君はなぜ、砂場に転がってこちらを見るのか? 🐾

西日本の某所は、野犬を虐待している。
SNSで頻繁に取り上げられているので、知っている方も多いことでしょう。

そこからSさん夫婦の元へ来たJ君(中型ミックス 男子 推定8か月前後)。

母犬のお腹にいた時から人間に追われ、生まれてからも、
聞くに堪えない境遇で育ちました。


生後3〜4ヵ月でセンターに収容されたJ君と兄妹犬…
命の灯が消える寸前で、兄弟全員愛護団体に救ってもらい、そのまま預かりボランティアさんの所へ。
そのボランティアさんからすぐに、Sさんの元へ来たのでした。

J君は、柴犬と洋犬の混血という感じの穏やかな顔立ちで、
足はすらりと長くてイケメンな男子です。

 

S家に来た当初は、怖がってお散歩に行けなかったのですが、
ここ
1か月くらいでようやく、お散歩の楽しみを覚えてくれたと言います。

そんなSさん、お散歩中に気になることが1つだけあります。

 

車や知らない人が、まだまだ怖いJ君。家から5分ほどの所に静かな海岸があるので、

Sさんは海辺に直行して、散歩に慣らしています。

素直についてきてくれるのですが、海辺の砂浜に来るとすぐ、J君が転がると言うのです。

最初はしなかったのに、今では、ほぼ毎回という感じです。

砂だらけになるのも困りますが、転がる時、何かを確認するような顔して、
必ずSさんの方をチラチラ見るそうです。

J君が保護された場所は、内陸部で海はありません。

だから、なお不思議だと言うのです。

単に気持ちいいのか?それとも、なにか意味があるのか?

あるなら、知りたいとSさんは依頼されたのでした。

 

コンタクト取ると、子犬の頃に怖い思いをしたにもかかわらず、とても素直で
真っすぐな子だと感じました。邪気のない、綺麗な目で、じっと私の顔をのぞきこんできます。

しばらく他愛もない話をしてから、単刀直入に聞いてみました。

「J君、お散歩で、砂浜に行くとすぐ転がるんですって?
その時お母さんの方を見て、どんな気持ちなのかな?」

「どうして、そんなこと聞くの?」と、逆に尋ねられました。
そういう風に聞いてきたときの顔は、まだどこか不安げにみえます。

「あ、心配しないで。お母さんはJ君のことが大好きだから・・・
J君のことは、なんでも、知りたいんですって」

「僕、人間が笑う顔を初めてみたんだよ」

J君はそう答えたのですが、最初私は、意味がよくわかりませんでした。

「え?人間が笑う顔を初めて?」と聞き返してから、合点がいき、
胸が押し潰されそうな気持ちになりました。

 

J君は生れて8ヵ月、1度も、人間の笑顔をみたことがなかったのです。

生まれてからは追い回される日々で、命の危険を感じながら育ちました。
母犬と離され捕獲されました。寸での所で救ってもらいましたが、
団体の人も、まだまだ救わなければいけない犬が多くて、
のんびり笑っている時間などなかったのでしょう。

Sさんが善い人だとJ君はすぐにわかりましたが、最初はお互い慣れなくて緊張していたのです。
それが人の少ない砂浜で転がった時、その様子をみたSさんもふっと気が緩んで、笑顔になったのでした。

その笑顔は、J君が生きてきて初めて見た人間の笑顔。
それからお母さんの笑っている顔が見たくて、J君は砂浜に着くとすぐ、
転がって見せていたわけなのです。

 

J君の言葉の裏にある現実の重さを知って、Sさんと2人で泣きました。

切なくて、健気で、そんなことを言わせる人間でいるのが、嫌になるようでもありました。

 

Sさんは実例として名前と写真を掲載していいと言ってくれましたが、
胸が痛くてできません。でもせめて、皆さんに知ってもらいたくて書いています。

(写真はJ君と妹犬Hちゃんに似たイメージです)

 

弱い立場のどうぶつに、こんなことを言わせてしまっていいのでしょうか?

彼らどうぶつに心や感情がなくて、本能的欲求で生きているなんて思ったら、大間違いですよ。
そんなことしか思えない鈍い感性と傲慢な心の持ち主は、人の皮を被った化け物です。

 

どうぶつたちは、少なくとも私達人間よりずっと、素直で優しく、愛に満ちています。

 

J君の心の傷が完全に癒えて、実例で顔写真を掲載させてもらうこと、

心から、願っていますね💖

 

 

 

 

 

  • 2019.05.23 Thursday
  • 20:35