キキのテーブルのブログ「4×6 -4つの目、6本の足-」

🌸桜の頃に現れる犬🌸 不思議な体験

本当は去年書こうと思っていたのに、桜の季節が終わってしまい
書きそびれていました。
桜の木の根元に、桜が咲く時期になると現れた黒い犬…
その犬と飼い主さんの、秘話を記します。

 

最初にその犬の姿を見たのは、かれこれ14〜15年前のこと。
ハッキリ覚えていないくらい前なのです。
でも私がまだペットシッターをしていたので、それくらい前は確かです。

 

平日の朝、とある猫のシッター業務を終えた帰り道のことでした。

我が家は、JR線沿いにあります。我が家から坂道を上り、
ちょうどひと山越える(徒歩3
0分くらい)と、私鉄の駅に出ます。
猫の家は、その私鉄駅の近くでした。

行きは急いでいたので電車乗り継ぎで行きましたが、帰りは歩こうと思いました。
そう思ったのは、桜の大木がある公園の脇を通るからでした。
ちょうど、桜が見ごろだったのです。


その公園は住宅街の中にあり、幾つかの遊具と砂場とベンチがありました、

言ってみれば、日本全国どこでもある公園ですが、
敷地沿いにある桜の巨木が(5〜6本)それは美しいのです。

 

初めて犬を見たのは、その公園に、私が足を踏み入れた時でした。

添付写真にそっくりな黒い中型のMix犬が、1番大きな桜の根元に
座っていたのです。私は結局、その犬を正面から見たことはないのですが、
ネットのフリー画像で見つけた時、あの犬!と思ったくらい似ています。
画像はド―ベルマンの子犬です。私が見たのは大人Mix犬ですが、とても似ているのです。

耳の垂れ具合、顔の横の模様、色味もそっくり。大きさは小さめの柴犬くらいだったと思います。

 

その犬は、公園の住宅側に植えられた桜の根元
(地上に出ているこぶの様な根っこ)に座るような格好で、
私に横顔を見せ、熱心に住宅街の方を見ていました。
飼い主さんを待つ犬の熱意を感じましたが、リードはつけていなかった
(首輪はついていたような気がします)ので、私はちょっと慌てました。

慌てたのは、迷子犬?と思ったからです。
その当時の私は、仕事柄猫を保護することが多く、その時も何頭か保護していました。
小さな我が家に、これ以上、しかも中型の犬を保護するスペースはありません。
でも放ってはおけない…と考えながら、バックを開けました。
キャットフードを持っていたので、それで犬を呼び寄せようと思ったのです。

 

キャットフードを取り出して顔をあげると、犬の姿は消えていたのでした。

その間、長くて2〜3秒です。私は驚いて犬を探しました。
探すといっても、柴犬くらいの大きさでしたから、見当たらないのがおかしいのです。

小型犬なら、私の足元をすり抜けるようにして公園から出て行き、
気が付かなかったと言えなくもないのですが、中型クラスのそれも黒い犬が
前を通ったのに見過ごすのは、不自然すぎる状況でした。
私はちょうど公園の入り口付近に立っていて、出入り口はその1か所だけです。
残る3方は住宅街に面していて、低いブロック塀が境界になっています。
そのブロック塀を飛び越えて行けますが、そうなら、
飛び越えていく犬の後ろ姿が視界に入るはずです。

 

狐につままれたような気持ちで、私はしばらく、朝の静かな公園に佇んでいました。
染井吉野の桜が見事に咲き誇る薄曇りの朝でしたが、
その公園の中だけ明るく感じるほどでした。

犬の姿がないのですから、結局あきらめるしかないのですが、
私は内心ホッとしてもいました。保護しなくてすんだと思ったのです。
それくらい犬の姿は、リアルでした。

 

それから何年か経って(多分9〜10年前)私は、同じ時期
またその公園に立ち寄りました。

もうペットシッターを辞めていたのですが、なにかの用事で
その駅周辺に行ったので、桜を見て帰ろうと思ったのです。

あの犬のことはすっかり忘れていましたが、ベンチに座ってひと息ついた時、
ふと思い出したのです。

犬がいた桜の方に、私は目をやりました。すると驚くことに、また座っていたのです。
しかも今度は、とても淡いシルエット状の姿になっていました。
半分透けて見え、散っていく花びらが、犬の身体を通過していきました。

 

私はそのころアニマルコミュニケーションを学んでいたので、
エネルギーの世界のことはずいぶん詳しくなっていました。

だから今自分に見えた(感じ取った)犬は、実際の犬ではないと、
瞬時に理解できました。

今なら驚きませんが、その時は耳元で心臓の音が聞こえるほど慌てたのを、
ハッキリ覚えています。

落ち着くのだ!と言い聞かせて、もう一度目を向けてみると、
前回同様、もうその犬の姿はありませんでした。

 

当時私は、この体験を誰にも話せませんでした。
ただ、一瞬見えたあの黒い犬が誰かを一途に待っている。
そのことはもう間違いないと確信できました。
同時に、犬から、悲しみや淋しさ等のマイナス感情は一切感じませんでした。

それ以来、折に触れてあの姿が思い出され、夏と秋と冬の計3回、
その公園に行ってみたものです。でも春以外の時期は、
全くと言っていいほど、あの犬の気配を感じないのでした。

 

それからも毎年春になると思い出してはいましたが、
中々行く機会もないまま次第に記憶は薄れていきました。

それがこの仕事を開業した翌年(4年前)のちょうど今頃、ふと思い出し、
なんだかとても行きたくなりました。自分でもうまく説明できないのですが、
今の私なら、もう大丈夫という気になったのです。

 

公園はいつにもまして見事に桜が咲いていて、空を見上げると、
四方から伸びた桜の枝で、アーケードのようになっていました。

ベンチに座って静かに心を落ち着け、あの犬がいた桜の木に目をやりました。
でも今回は、何度見てもあの犬のシルエットは見えてこないのでした。

私は不思議な気持ちになって、犬が座っていた桜の根の上に自分も立ってみました。
そして、犬が見ていた方角に目を向けました。ゆったりした敷地の家が何件かありましたが、
その真ん中の家、勝手口が見える家が気になって仕方ありません。
勝手口から犬と老人(男性)が、今にも出てくる気がするのです。
そこで、その家に向かって気持ちを集中してみました。
あの犬の気配は浮かんできませんでしたが、代わりに、
ほんわかした温かい気持ち、満足と安らぎが胸に満ちてきたのです。

あの黒い犬が待っていた相手と会えたか、物事が成就したのだ…
そのことだけで充分な気持ちになって、私は帰ってきたのでした。

 

あの黒い犬と老人のことを詳しく聞けたのは、去年の今頃のことです。

私鉄の駅近くにオープンした美味しいパン屋で、顔見知りの人に会ったのがきっかけでした。
顔見知りと言っても、以前通っていたスポーツクラブのヨガ教室で、何度か会った程度です。
パンを買って店を出ると、彼女があの公園の近くに、30年も住んでいるというので、
一緒に歩いて帰ることにしました。

「今年も桜が満開」と彼女が言ったのを機に、あの犬のことを聞いてみたのです。
するとあっさり、身元が判明しました。

犬の名前は、はなちゃん。容貌は、写真が残っていないので細かいことはわかりませんが、
私が見た黒い垂れ耳の犬とほぼ一致しました。14〜15年前に他界したのも合っていました。

飼い主は、この界隈の自治会長等を何期も務めた温厚なE氏で、
桜の木とお酒と催し事が大好きだったそうです。夏は盆踊り、春は花見の会を仕切り、
普段ははなちゃんの散歩と、ほぼ毎日公園に来ていたそうです。
とくに桜が大好きで、「僕はね、花見をしながら逝きたいね。死んだら、
これ(はなちゃん)と一緒に、ここ(犬がいた桜の木の根元)に埋めてもらう」
が、口癖でした。

彼らの家は私が感じた家ではなく、その何軒か奥で、
今は取り壊されアパートが建っているそうです。

「Eさんが亡くなった年は、ハッキリ覚えているの。ほらあの時
(2011年の東北大震災の前後に他界)だったから。
あんなに好きだった桜を見ないで逝って心残りだったねって、
近所の人と話したのよ」

Eさんが亡くなった後、はなちゃんを拾ってきた息子さんは海外に移住し、
同居していた娘夫婦も家を引き払って、アパートが建ったそうです。

その娘さんが引っ越しの挨拶に来た時したという話を聞いた時、
私は号泣しそうになりました。

「引っ越してしまうと、お父さん、桜を見れなくなって残念ねって言ったら…
娘さんが、ええ、でも父は生前からの遺言で、樹木葬にしました。
そこの桜も、ここに負けないくらい綺麗なんですよ」

 

彼女が大体の場所や名前の一部を覚えていたので、
私は家へ戻ると早速調べてみました。

教えられた霊園のHPには、途中から(時期は不明)ペットと一緒に入れる
樹木葬も始めた、と記してありました。

はなちゃんとE氏が一緒に埋葬されているかはわかりませんでしたが、
私は共にいると、強く感じます。

 

誰に頼まれたわけでもありませんが、この話を書けて、
ものすごくホッとしている自分がいます。

Eさんを待っていた、はなちゃんの真剣な横顔、一心な視線、
きちんとお座りしていた身体のシルエットを、今も鮮明に思い出すからです。

桜が咲くころ毎年やってきて、何年もEさんを待っていた一途さは、
なんて讃えたらいいのでしょう。

 

桜の樹の下で、はなちゃんとEさんが、永遠に共に過ごせますよう💖

 

 

 

  • 2019.04.12 Friday
  • 22:00