キキのテーブルのブログ「4×6 -4つの目、6本の足-」

ラストメッセージ サビ猫 武智子さんの実例

自分が旅立つ前に、愛する人へ、今まで言えなかった思いを
伝えたい人は多いことでしょう。

ほんとうは、どうぶつ達も、同じ思いなのです。

ところがどうぶつ達の場合、そのことに気がついてくれる人間が、
回りにいない。それが現状と言えるでしょう。

 
今日ご紹介するのは、私の愛猫の主治医S先生から勧められて
いらしたTさんと、愛猫「武智子
 ぶちこ」さんです。

セッションのお申込み見て、ずいぶん勇ましい名前だなと思ったものですが、

この名前の由来は、彼女が残した珠玉のメッセージの
深い部分にも繋がっていました。

 
いらした経緯から、記していきます。

「重い肝疾患で、予後があまりよろしくない患者さんが行くと思いますから、
コミュニケーションよろしくお願いします」と、
S先生からメール貰ったのが最初でした。

それからほどなくして、Tさんという方から電話がありました。
第一声で、S先生の紹介の患者さんだとわかりました。

重い病気の子に付き添う人特有の、辛く沈んだ声だったからです。

Tさんはお母さまと2人暮らし。武智子さんは3年ほど前、縁の下に住みついた猫で、
その当時から若くはなかった(現在推定11歳〜14歳)と言います。

 

Tさんからみて、もういつ召されてもと感じるが、
「武智子は治療を続けていきたいか?家にいたいか?家での生活はどうか?
できることがあればなんでもしてあげたいので、気持を聞かせてほしい」

そんなご依頼でした。

 
写真に集中すると、首から下にほとんどエネルギーを感じません。頭部だけが、
なんだか異常なくらい、頑張っている状態
(後から聞いたところ、この時、身体は動かせず、脳障害の症状もでていたとのこと)
意識ははっきりしているが、まったくもって動きたくない。
吐き気はないが、時々苦しくなる。その苦しさがどこからくるかわからないので、
じっとして耐えている。

とても気丈で賢く、芯の強い猫さん。若いころは、
悠然と立ち向かう(縄張りに入ってきた猫に)タイプだった。
Tさんとお母様に対する、深い愛と感謝を感じる。

 

苦しそうなので話しかけるのを躊躇していると、
武智子さんの方から話しかけてきたのです。

ここからは、ほぼ彼女が話したことをそのまま記します。

以下、「まあ」は、Tさんのことです。

 

「まあに言いたいの。今まで、本当にありがとうって。
私はそんな愛想がいいわけではなく、可愛いわけでもない
(顔の黒い縦のラインが、いいって言ってくれるけれどね)
最初、まあの所に来た時、私はボロボロでとても困っていたの。
まあの家の縁の下が、雨風しのげて襲われないで眠れる場所と思ったけれど、
お家の猫になる気持ちはなかった。してもらえるなんて、思っていなかったの。
でも、まあと私はなんだかとても、似ている所があるでしょう(その時の精神状態が)。
性格だって、我慢強くて自分の筋を通すところや、アピール上手じゃないところとか…
だから、ああこの人なら、私はもう悲しい思いはしないかもって、早い段階でそう感じたの。
そんな大事なまあだから、今、私のそばで悲しそうに泣いていると、とても切ないのよ。
本当に切ない。私、もう一度立ち上がって、虫とか取って遊んでいる姿を
見せてあげたいけれど、もうできないわ」

 

「何かしてあげられることは、ありますか?」と聞くと、
薬はいらないこと(飲みこめない)治療は、命を保つ最低限なら受け入れられるかもだけど、
移動がとても辛いことなどを、静かに話した武智子さん。
Tさんには、自分のために仕事を休まなくともいいこと、お母さんには、
心配かけて申し訳ないこと、必要以上に心配しないでと言いました。
(何日か前、Tさんが仕事中に容態が悪化し、お母さまがパニックになってしまったので)

 

「全部伝えますから安心してね」と言うと、私はなんだか急に胸の辺りが温かくなって、
泣きたくもないのに涙が溢れてきたのです。
こういう時は、話しているどうぶつの感情が高まって、なにか大事なことを言う前兆です。

 

私は急いで、武智子さんの意識に最大限集中しました。
すると、ささやくような声が聞こえてきました。

「まあ、私の頭の所に、まあの額をくっつけて。
抱っこしてもらいたいけど、動くと辛いから、このままでいいの。
額をくっつけて、そっと身体を撫ぜてほしい。
そうしたら、私、まだ喉はゴロゴロ鳴らせると思う。
まあは、私のその音を覚えていてほしい。私はまあの、温かさを覚えていたいわ」

 

武智子さんは、このメッセージを伝えた10時間後、静かに旅立っていきました。

 

Tさんから、旅立った直後にいただいたメールです。
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武智子は本日午前245分に静かに虹の橋を渡って行きました。

 

最後は大きく息を吐き、全ての苦しみから解放されたのに安心したかの様な、
眠っているかの様な穏やかな顔で逝きました。

(中略)

前田様が昨日の電話でお話になられた通り、私が武智子に出会った当初、
それまでの仕事も人間関係も全てかなぐり捨て、半ば自暴自棄になっていた時でした。
出会ったばかりの武智子は、目ヤニだらけ鼻水だらけで痩せて、
鳴く事もなくただ静かに佇んでいましたが、眼光だけは鋭く、
私を見る瞳から「ブチっ
!」となぜか私には擬音が聞こえた気がしたのです。
そのエピソードと「戦国武士の様に強く知恵のある子になりますように」
との願いから赤さび猫の彼女に敢えて武智子と名付けました。

「この子を幸せにするならばもう一度」と私を奮い立たせてくれたのは武智子です。
この子のお陰で今の私があります。本当に良い猫に出会え、幸せでした。

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最後の力を振り絞って話してくれた武智子さんの、静謐なエネルギーを、

私は、ずっと覚えていることでしょう。

あなたの、まあに対する深い感謝と愛情は、あなたの大事なまあに、
しっかり伝わっています。どうぞ、安心してくださいね。

 

こんなに素敵なラストメッセージを通訳させてもらえて、
私はとても幸せでした。

 

小さいけれど、あまりに大きい武智子さんへ…深い敬意をこめて。

 

 

  • 2018.02.05 Monday
  • 21:34